自分だけの部屋

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夕飯の時間には、蓮が帰ってきていた。 「お引っ越しお疲れ様。茉里菜ちゃん。」 蓮が笑顔で、そう声を掛けた。茉里菜は、きちんと頭を下げて、蓮に言った。 「今日から、よろしくお願いします。」 「よろしくは、こちらも同じだよ。さて、夕御飯の前に、ちょっとだけ話をしよう。」 「はい。」 「これから、一緒に暮らしていく上で、君に守ってもらいたいことがいくつかあるんだ。いいかな。」 「はい。」 「まず、君は、ここからだと少し遠いけど、通っていた中学校に、来週から、ちゃんと通いなさい。」 「…学校、行きたくない。」 「どうして?」 「…どうしても行かなくちゃ駄目?」 「茉里菜ちゃんには、茉里菜ちゃんなりに、行きたくない理由があるんだろうね。だけど、俺は、君に『行かなくていい』…とは言えない。 俺達は、君の里親になったんだ。里親になったって言うことは、大人として、未成年の君を、きちんと学校に通わす義務が生じるんだよ。 血が繋がってるわけでもないのにって、君は思うかもしれないけど、俺達と君は、もう親子だ。 里親になるって言うのは、本当の親と同等か、それ以上の愛情を里子に与える存在になるってことだよ。 愛情は、甘やかすことだけじゃない。厳しいことも時には言わなくちゃならないんだ。今は、厳しく言う時なんだ。 この先、君が社会へ出ていくためには、いろんなことを学ばなきゃいけない。そのための義務教育だよ。 だから、あえて言うよ。学校に行きなさい。そして、来年の春、ちゃんと卒業しなさい。」
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