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「ふたつ目は、言いたいことは、遠慮せずに言うこと。お互い、手探りだからね。言わないとわからないことも沢山あると思うんだ。
最後に、これが一番大切なんだ。君は、君自身を大事にすること。」
「…自分を大事に?」
「そう、大事にだよ。これには、沢山意味が含まれてるんだ。今すぐ、答えの出ることじゃないから、毎日の生活の中で、考えていってくれればいいよ。
例えば、以前、夜の街で、俺に声を掛けてきただろう。あんなのは、自分を大事にしてるとは言えないな。
かなり難しいことを言ってるって、俺は思ってるよ。でも、大事なことだからね。
時間はたっぷりあるから、焦らなくていい。茉里菜ちゃんが納得できる答えを見つけられれば、それで十分だよ。」
茉里菜は、今まで、こんな風に、答えをすぐ出さなくてもいいと言われたことがなかった。
何時だって、茉里菜の考えは、後回しで大人の都合で決められてきた。たまに、意見を聞いてくれることだってあったけど、茉里菜が答えるには、時間が掛かる難しい問いもある。こんな時にこそと頑張って考えても、答える前に、無理矢理タイムアウトを取られてばかりだったのだ。
「…ちょっと難しいけど、頑張ってみる。」
茉里菜の答えに、蓮は優しく笑顔で応えてくれた。
「お話終わったかしら。」
「ああ、終わったよ。」
「じゃあ、夕御飯にしましょうね。ちょっと張り切って作っちゃったわ。二人とも頑張って食べてね。」
ダイニングテーブルの上には、3人で食べきれるのか不安になるくらい、ご馳走が並んでいた。
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