傷痕

2/20
前へ
/755ページ
次へ
茉里菜の中学は、ミルキーウェイのある辺りの子供達が通う中学の隣の校区になる。 陽だまり園からは、徒歩で15分あれば着いていたのだが、ミルキーウェイからとなると、倍…いや、それ以上に掛かりそうだ。 「かなり早起きしなきゃ駄目だなぁ…。」 「大丈夫よ。私が、近くまで毎日送ってあげるから。」 「毎日?!」 「自転車、駄目なんでしょう、あなたの学校。」 「うん、駄目。でも、どうして知ってるの?」 「神林先生に聞いたのよ。」 「先生に?」 「これまでは、いろんなこと神林先生が、お世話してくれていたんでしょ。 これからは、私達がするんだから、わからないことは、神林先生に聞くのが一番よ。 電車とかバスも考えたんだけど、ものすごく遠回りになってしまうし、途中で何かあっても、フォロー出来ないの。 一番いいのは、家から学校まで歩くことだけど、さすがに朝イチで、この距離は、大変よ。だから、送ってあげることにしたの。…とは言っても、学校の近くまでね。 毎日、車で通学なんて、目立ちまくるだけでしょ。だから、出来るだけ静かに、問題なくいかなくちゃ。 茉里菜ちゃん、嫌いでしょ、目立つこと?」 「…なんで、わかるんですか?!」 「私もそうだったからとしか、いいようないかな。」 車の後ろの席で、そんな話を一葉と茉里菜がしていた。蓮は、バックミラー越しに、二人をチラ見しながら、クスッと笑っていた。
/755ページ

最初のコメントを投稿しよう!

100人が本棚に入れています
本棚に追加