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「…では、よろしくお願いします。」
深々と、学年主任の高崎に礼をしてから、蓮と一葉は、帰路に着いた。
一人残された茉里菜は、高崎の前に座っていた。
「上條。神谷さん夫妻は、お前のことを、実の娘のように話していたなぁ。優しくしてもらってるのか?」
「はい。とっても優しい人達です。」
「そうか。なら、よかった。上條、二人を落胆させるようなことするなよ。」
「…はい。」
「まずは、毎日、学校へ通って来ることから始めようや。
どうしても教室に入れないのなら、保健室登校でも構わないからな。そこから、頑張ろうか。」
「…教室に行かなくていいんですか?」
「本音は、教室に行って欲しいんだがなぁ。無理にとは言わないよ。
とにかく、保健室登校でも、学校に来ていたら、出席日数はプラスされていくからな。勉強の方は、中間テストも近いし、課題をやってもらわんと…。
それで、今日はどうする?」
「…保健室へ行ってもいいですか。」
「よし、わかった。それじゃあ、養護の先生に、頼みに行くか。」
高崎の後ろについて歩いていくと、いきなり高崎が止まった。
「こら!そこ、廊下は走るなって、いつも言ってんだろ!」
「すいませ~ん。」
教室移動なのだろう、廊下を走っていた生徒が、高崎に叱責された。
ここは、私の知ってる、いつもの学校だと、茉里菜は思ってホッとした。
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