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不登校になったのは、別に虐められていて、来たくないからとかじゃない。
茉里菜は、勉強が好きだったし、クラスには、小学校からの仲良しの子も何人かいたのだけれど…。
なんだか、居心地が悪いと思い出したのは、2年の2学期からだ。
自分の置かれている環境は、小さい頃から理解しているし、周りの友達も、そのことで、何かしら嫌がらせや悪口を言うことはない。でも、時々、疎外感と言うか、自分はみんなと同じ道を同じ様には、進めないと感じることがよくあった。
この時期の中2の子供達は、来年、3年生になったら受験生と呼ばれ、必死に勉強に打ち込まなくてはいけないことを知っている。だけど、まだ当分先のことだしと、気楽なの者が大半だ。
茉里菜のクラスメイト達も、2年なんだから、まだまだ遊べるって子達がほとんどで、そんな子達から遊びに行こうと誘われることが多くなった。
事前に聞いていれば、神林に言ってみんなと遊びに行くことも出来た。でも、いきなりは、絶対に無理だ。
お小遣いは、一応、毎月もらってる。でも、みんながもらってる額に比べたら、すごく少ない。誘いをみんな受けていたら、とてもじゃないが、続かない。
それから、今、施設で年長者は、たったの3人だ。その上、茉里菜より上の二人は、高校生で、学校から帰ってくる時間も、ずっと遅い。
小学生達の面倒をみる手伝いは、どうしても茉里菜が一人で背負うことになる。
先生達が、年少の子供達の世話に、ものすごく手が掛かることも、大変な思いをしていることも、今の茉里菜なら十分理解できる。自分も、そうやって育ててもらったのだから、手伝うのは、当たり前だと思っていたし、恩返しのつもりだったのだが…。
今や、義務のようになっていた。
少しずつ、心の中に、なにかわからないものが、滓の様に溜まっていった…。
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