100人が本棚に入れています
本棚に追加
新年を迎えて、新学期が始まってから、茉里菜の心は更にどんよりし出した。
あいかわらず、お気楽に過ごしている者が多い中で、早くも、受験モードに入っていく子達がいた。
その子達の話を聞いていて、茉里菜は、自分が、置いていかれている気持ちになった。
目標を高く持っている子達は、高校だけでなく、その先の大学さえも念頭に置いて、もう動き始めている。ほんの一部の子だとはいえ、茉里菜には、衝撃的だった。
それに、高校さえ、行けるかどうかわからないのに、大学なんて考えられなかったし、自分の周りの状況から考えて、大学なんて行けるはずなかったのだ。
自分は、どこにも属せない…。
そんな思いが芽生えてしまったら、茉里菜は、動けなくなった。
学校に行きたいと思っても、体調が悪くなって、朝、出掛けられない。
ずっと寝てばかりいられないと、起きてくると、みんなのことが気になって、思わず手伝いをしてしまう…。
寝てなさいと言われても、寝られるわけがなく。時間だけが、無意味に過ぎていく。
イライラが、どんどん積もっていく。茉里菜は、がんじがらめになっていた。
それまで、真面目に通学していた茉里菜だ、休んでしまって学んでいない部分の課題は、きちんとこなしていたし、元々成績がよかったおかげで、学年末は、ギリギリだったが、成績は合格点をもらえた。
心配だった出席日数も、なんとかクリアして、進級はさせてもらった。
4月になって、新学期が始まったら、心機一転、頑張ろうと思っていたのに、ここで躓いたのだ。
遊んでばかりいた子達まで、受験モードになっていた。茉里菜は、出遅れて、それに乗りきれていない…。
そして、あの日、学校にも、施設の中にも、自分の居場所がないと思い詰めてしまった茉里菜は、とにかく、どこか知らないところへ行きたくて、あちこち歩き回って新宿へたどり着いたのだ。
そこから後は、語る必要もないだろう。
神待ち少女達と出会って、一時を過ごしたが、結局、そこにも居場所がなくて、浅い知識だけで、援助交際にチャレンジしたものの、声を掛けたのが蓮だったために出鼻を挫かれ、結局、施設に逃げ帰ったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!