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「茉里菜ちゃん大丈夫かしら?」」
「心配なのか、一葉。」
「新しい生活始めたばかりなのよ。心配しない方がおかしいでしょ。蓮は、心配じゃないの?」
「まったく心配してない訳じゃないよ。でもね、俺達が、どうこう言ったところで、なにも始まらないよ。出来るのは、選択肢を幾つか用意してあげることだけだよ。後は、茉里菜自身が、選んで進まなきゃ。…俺達だって、そうだっただろう。
まあ、俺達は、親の用意してくれた選択肢をことごとく蹴飛ばして、今の道を選んだけどな。」
「後悔してるの?」
「何をだい?」
「選択肢以外の道に進んだこと。」
一葉の不安げな顔を見て、蓮は、やれやれ…と思ってしまった。
「あのな。俺は、君と一緒に歩いて来た道を、後戻りしたいとも思わないし、後悔もしてない。あの日の決断は、決して間違ってないって思ってるんだ。
俺は、傷付いてる一葉に、更に鞭打つようなことされて、腹が立った。だから、今度は、必ず君を守るんだって、自分自身に誓ったんだ。
俺は、死ぬまで一葉と一緒の人生がいいんだ。
…だから、ごちゃごちゃ言うな、一葉。」
「…ごめん。それから、ありがとう。
私さ、蓮のそういう優しいところが好きなんだ。昔から変わらないよね。」
「当たり前のこと言うな。俺は、一葉一筋なんだからな。彰の千秋さん愛にも、負けないくらい、一葉ラブなんだからな。」
「へへへへ…そんなこと言われたら、嬉しくて、泣きそうだよ。泣き笑いしちゃいそうだよ。」
「泣いていいぞ。俺の前でだけな。」
蓮は、自分で言っておいて、ちょっと照れくさかったが、一葉が嬉しそうに応えてくれたから、十分だった。
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