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「…あの、これから会うお友達、彰さんと千秋さんって言うんですか?」
「ああ、そうだよ。」
「どんな人なんですか?」
「…そうだな。最近の言い方で言えば、イケオジってやつだな。」
「イケオジ?」
「茉里菜達は、使わないのか、こう言う言い方…。」
「ごめんなさい…私、流行とか疎くて。」
「謝る必要なんてないさ。流行語ばかり話して、綺麗な日本語を話せないようなのはいただけない。
仕事柄、店に来る高校生達の会話についていこうと、叔父さんは必死なんだ。それで覚えてるだけだよ。
だから、茉里菜は、気にすることなんてないんだからね。
まあ、イケオジってのは、格好いい叔父さんってことだな。
本人に会ったらわかると思うけど、彰は、俺達と同級生なんだけど、年齢よりかなり若く見えるんだ。顔も目鼻立ちがしっかりしてて、若い頃は、かなりモテたんだよね。まあ、あいつは、千秋さん以外は、眼中になかったけどね。」
「そうそう。彰は、ああ見えて、一人の女性に尽くすタイプだもんね。」
「言えてるな。」
そう言って、蓮と一葉は、笑っていた。
茉里菜は、そんなふたりの姿を見ながら考えていた。
一人の女性に尽くすタイプの男の人って、本当にいるのかな?
お父さんとお母さんは、とっても仲が良いけど、本当は、どうなんだろう…。
素直に、ふたりの話が頭に入って来ないのは、実父が実母を捨てて、どこか知らないところで、知らない女性と笑って幸せな生活をしているかもと、思ってしまったからだ。
そして、実母の顔さえ、自分は、もう思い出せなくなっていることに気付いて愕然とした。
世の中には沢山ある理由で、別れてしまっただろう両親が、茉里菜の心に着けた傷痕の大きさに、今更ながらに気が付いて、心が引き裂かれそうに痛かった…。
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