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「以前、内のギャラリーで個展を開いてくださいましたよね。あの時は、まだ学生で、仕事をさせてもらえる立場ではなかったんです。それでも、無理を言って、神谷さんの作られたアクセサリーを見せてもらいました。 毎日のように、沢山のアクセサリーを見ていますが、あすこまで心が踊ったのは、初めてでしたし、あれ以来、他のアクセサリーが、貧弱に見えてしまって…。 あの時、父にねだって買ってもらったペンダントは、今も身に付けています。 今回、ギャラリーの仕事を初めて任されたんです。 僕の初めての企画は、絶対に神谷さんの個展だって決めてて…それで企画書を出させてもらいました。 あの…内のギャラリーで、もう一度、個展を、開いてはもらえませんか?」 「個展開くとなるとね、それなりに売れる作品を作らないといけないし、簡単に、はいとは即答出来ないよ。」 「わかっています。簡単にお返事がもらえるとは、僕も思っていませんし、神谷さんに納得してもらえるなら、何度でもお伺いさせていただきます。ですから、どうか、ご検討よろしくお願いします。」 郁哉は、頭を深々と下げた。 「そうだねぇ…。まあ、検討だけならしてもいいよ。」 「本当ですか!」 「でも、君が納得する答えを出すかどうかは、別だよ。」 「はい!ありがとうございます!」 まだOKを出してないのに、満面の笑みで、喜びを隠そうともしない彼の姿に、蓮は、こういう青年は、今時貴重だと素直に思った。
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