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「いらっしゃい、待ってたのよ。」
千秋は、玄関で、蓮と一葉を迎えた。
「結婚記念日おめでとう、千秋ちゃん。
えっとね、この子、家の里子になった上條茉里菜ちゃん。可愛がってね。」
そう言って、茉里菜の背を、ずいっと前に押し出した。
「きゃあ♪可愛い♪」
千秋は言うなり、茉里菜にハグしてきた。
茉里菜は、自己紹介どころか、声も出せずに固まってしまった。
「千秋さん、悪いけど、腕ほどいてやって。茉里菜、固まってるから。」
「えっ?!…ああ、ごめんなさい。」
「気にしなくていいわよ、千秋ちゃん。
茉里菜ちゃん、びっくりさせてごめんね。私達、会うとよくハグしあってたからね、ついやっちゃうの。
千秋さんは、あなたのこと、気に入ってくれたみたいだから。気を悪くしないでね。」
「は、はい…。」
千秋は、茉里菜に悪いことをしたと、反省しきりだ。
「ごめんなさいね、初対面なのに…。改めて、私は、速水千秋といいます。ようこそ、速水家へ。」
「か…上條、茉里菜です。よろしくお願いします!」
「はい、よろしく。…あいさつは、これくらいにして、入ってちょうだいね。
和樹君と郁美ちゃんも呼んでるのよ。」
中へと誘う千秋に、蓮が聞いた。
「和樹、来てるのか。他の面子は?」
「あんまり沢山呼ぶと、光輝に怒られちゃうから、私の方の招待は、和樹君達だけよ。一応、身内だからね。」
「それじゃあ、俺達は?」
「ふたりは、彰の方の招待客よ。
立ち話もなんだし、奥でゆっくり話しましょう。茉里菜ちゃんも、どうぞ。」
茉里菜は、どんどん進んでいく話に、ついていけなくて、わたわたしていた…。
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