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「…じゃあ、お母さんは?」
「私?…そうね。お嫁さんかな。」
「お嫁さん?!」
「職業じゃないっていいたい?」
「うん。」
「私は、特別、なにかになりたいとか、将来こんな職業についてみたいとか、あんまり思わなかったの。ただ、小さい頃から、漠然と、花嫁さんに憧れてたんだ。
花嫁さんになるには、花婿さんが、必要でしょ。でも、そういう発想がなぜだか出来なくてね。自分が、花嫁になることばっかり考えていたの。おかしいでしょ。」
「もしかして、お母さん、ウエディングドレスが着たかった?」
「そうかもね。今ならね、ウエディング専門のモデルをするとか、考え付くんだろうけど、あの頃の私には、そんなの思いもつかなかったな。
私の夢は、蓮のおかげで叶ったの。
ちょうど、茉里菜ちゃんくらいの頃に、蓮に出会って、付き合い始めて、いつの間にか、漠然としていた花嫁の夢がね、蓮の花嫁さんになるに変わっていたわ。
大学卒業して、すぐに蓮と結婚して、花嫁さんになれたんだもの。ねっ♪」
「嬉しそうに言うなよ。」
「だって、昔を思い出したら、嬉しかったんだもの。」
「二人は、中学生で付き合ってたの?」
「いや、正確には、中学卒業してからだよ。不純異性交遊は、校則で禁止されていたからねぇ。」
「ええっ!私と蓮は、不純異性交遊だったの?!」
「そうだよ。純粋で素直な茉里菜の前で、それ以上のこと話すのか?あれは、断然たる、不純異性交遊だろ。」
「…もしかして、二人は、私と同じ歳で、いけないことしてたの?」
「ほら、一葉が、変なこと言わすから、茉里菜が困ってるじゃないか。
俺達は、中学の時に知り合って、仲良くしてたけど、別に彼氏彼女の関係だった訳じゃないんだ。
高校受験も終わって、同じ高校に通えることになったからね、俺が春休みに、告白して、彼女になってもらったって言うのが、真相。
言っておくが、俺達の初体験は、高校に入ってからだからな。中学生でするわきゃないだろ、興味があっても。
初めての時に、俺は、必ず一葉を嫁さんにするって約束したんだ。」
「約束は、ちゃんと守ってくれたよね。」
「当たり前だ。俺は、いい加減な気持ちで付き合っていた訳じゃないからな。」
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