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「これ、河口湖のお土産です。」
郁哉は、ギャラリーのみんなに土産物を配っていた。
「お盆に休み取れたのに取らないで、ずらして休んだと思ったら、河口湖って、お前、誰と行ったんだよ。」
「彼女と二人きりでといいたいところですけど、友達も何人か一緒に遊びに行ったんです。あっちに、別荘あるんで。」
「別荘だぁ?!」
「藤崎って、いいとこのボンボンなのか?」
「そんな知り合いいるのか?」
口々に言う同僚達に、郁哉は苦笑いしていた。
「お前ら、知らんのか?」
「何がです、蓮見さん。」
「藤崎のことだよ。みんな、お気楽だな。
こいつの姓を聞いて、普通の感覚なら、気がつくだろうが…俺達の働いているのは、なんて名前の会社だよ。」
「藤崎ジュエリーだろ、そんなこと…ああっ!!まさか?!」
「今頃かよ…。だから、お気楽だっていうの。
なあ、いいよな、藤崎。みんなに言っても。」
「いいですよ、別に。」
「聞いて驚くな。藤崎は、内の社長、藤崎碧氏の息子であらせられる。将来は、俺らを顎で使う立場になられる存在だ。しっかり、媚びとかないと、窓際行きだぞ。」
「なんですか、その紹介の仕方は?!やめてくださいよ、蓮見先輩!!」
蓮見に文句を言ってから、みんなに向かって言った。
「みんな、僕は、そんな経営者になる気はないからね!!」
「わははは。冗談だよ、冗談。」
蓮見は、笑い飛ばしていた。
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