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よくわからないけど、先輩達、特に男性陣から、茉莉菜との恋愛に対してエールを贈られることになってしまったんだ。
そして、初恋の相手と付き合っていると言う話は、女性陣にも伝わって、彼女達からも、いつでも恋愛相談受けてあげるから、頑張れって、背中を叩かれてしまったのだ。
「ところで、その彼女とは、どこまでの関係なの?」
「えっ…そんなの話せませんよ。」
恥ずかしいのもあるけど、社会人の僕が、まだ全然リード出来てないこと、まともにキスさえ出来てないことは、言えなかった。
「まあ、そうよね。ごめん、ごめん。プライベートなことだもんね。
だけど、ひとつ教えといてあげるね。女の子は、優しいだけじゃ、ついてこないわよ。たまには、ガツンと一発、男らしいところみせないと、頼りないって思われるから。そうなっちゃったら、坂道転がるみたいに、距離離れちゃうからね。
いいこと。藤崎君は、優しいのが売りだけど、優柔不断だけはしないのよ。これが一番悪いの。相手の気持ちを知りたくて、聞くのは構わないけど、聞かなくていいことまで、どうしようって迷いまくって、相手に決めてもらったりしちゃダメよ。
自分はこうしたいけど、君は、どう思うかって聞き方ならいいけど、どれにしたらいいかって悩みまくって、全然決められない姿なんて、見せない方がいいわよ。」
「助言ありがとうございます。」
こんな感じの会話があちこちで、しばらく続いていた。
「僕って頼りないって思われてるのかな…。情けないな…。」
そんなことを思っている時に、茉莉菜から連絡があった。
「あの…郁哉さん、忙しいのわかってるんですけど、会ってお話したくて。」
「大丈夫だよ。今週は、夜ならいつでもいいし、昼間は…えっと…木曜日と金曜日は、休みなんだ。土、日出勤だから。」
「じゃあ、木曜日。」
「迎えに行くよ。」
「はい。お待ちしてます。」
楽しそうな声に、郁哉は、ほっとした。
「先輩が変なこと言うからだ…。僕は僕らしく、一生懸命、茉莉菜に向き合う。それが、一番だよね。」
自分を納得させた郁哉は、もうデートの日のことを思い描いて、心がウキウキしていた。
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