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「残念だったな藤崎。」
「何がですか?」
「初めてのバレンタインだったのに、デートどころか、出張だもんな。」
「そうですね。でも、帰ったら、速攻、お土産持って会いに行きますから問題ないですよ。」
「いいねえ、そう言うの。初々しくてさ。ところで、彼女とは、結婚するんだろう。いつ頃の予定なんだ。」
「まだ大学生なんで、卒業してからですよ。」
「なんだと?!大学生だ!!けしからんな!」
「藤堂先輩、何がけしからんのですか?」
「社会人と学生なんてシュチ、萌えるじゃねぇか。羨ましい。」
「そんなに、羨ましいなら先輩も歳下の女子大生の彼女作ってください。
たまたま、僕の方が歳が上だったから、社会人なだけですよ。
あっちも、たまたま大学に進学してただけで、彼女が高卒とか短大卒で、もう就職してたかもしれないでしょ。
世の中の社会人と大学生のカップルはみんな、萌えの対象なんですか?」
「いや、そんなことはない。…悪かった、からかって。」
「わかってくれればいいです。」
乗っていたタクシーが止まった。
「お客さん、着きましたよ。」
「ありがとうございました。すいません、お幾らですか。」
「2070円。」
「はい、これ。丁度ね。すいませんが、領収書を“藤崎ジュエリー”でお願いします。」
てきぱきと郁哉はお金を払ってタクシーを降りた。
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