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「こんにちわ。」
「あら、郁哉君、久しぶりね。」
「出張行ってまして。茉莉菜は帰って来てますか?」
「もしかして、お土産でも持ってきたのかな?」
「ええ、まあ。」
ちょっと照れてる郁哉に、一葉が言った。
「茉莉菜、今日は、ピアノのレッスンに行ってるのよ。」
「ピアノですか?」
「あら、知らなかったの?」
「はい。ピアノの話は、初めて聞きました。」
「保育士って、子供達に歌を教えたり、リズム遊びする時に伴奏したりしなきゃならないんですって。だから、授業にもそう言うのがあるらしいわ。
でも、家は狭いから、ピアノを置く場所ないのよ。代わりに、あの子の部屋には、勉強机に置ける大きさのキーボードがあるんだけどね。」
「いつから習いに行ってるんですか?」
「大学に入ってからよ。と言っても、本格的にピアニストになろうとか言うのでもないから、週に1、2回なんだけどね。」
「そうなのか…。 」
「もうすぐ帰ると思うから、座って待っててね。」
「ありがとうございます。」
礼を言ってから、郁哉は、商品棚に並んでいる蓮の新作のアクセサリーを見ていた。
「いつ見ても、丁寧な仕事だなぁ。いいなぁ、これ。」
銀色の艶やかな光は、いつまで見ていても飽きなかった。
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