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X'masに約束もデートも出来なかった郁哉は、お詫びだからと、年末年始は、茉莉菜のために時間を目一杯使ってくれた。
連日のデートに、茉莉菜は、反対に気を使う始末だ。
「郁哉君、無理してない?」
「無理なんてしてないよ。今の僕に出来ることは、これくらいなんだし。
それに、もし費用のことを気にしてるんだったら、茉莉菜は考えすぎ。僕は社会人で、君は学生。どっちがお金持ち?」
「どう考えても、郁哉君だよ。」
「だろう。それに、僕は、散財するような遊び方知らないから、安心して。
後ね、費用が気になるなら、茉莉菜が仕事始めたら、何でもいいよ、君の気が済むことしてくれれば。」
「うん、ありがとう。初任給は、両親に何かプレゼントって定番だよね。そこに、郁哉君もプラスしとくね。」
「わかった。じゃあ、楽しみに待っておくよ。
それより、もうすぐ卒業だね。卒業旅行とか行かないの。今時は、みんなやるんじゃないの?」
「うん、大学の友達は、やりたいねって言ってるけど、行き先がなかなか決まらないんだよね。鋭意検討中。」
「真鈴さん達とは行かないの?」
「真鈴達とはね、近場で、普段なら絶対に行かないようなお店でご馳走食べて、高級ホテルでお泊まりしようって言ってるの。」
「それいいね。」
「遠出するだけが、お祝いじゃないでしょ。」
「そりゃそうだ。」
「郁哉君は行ったの?」
「僕は、俊輔に誘われて、同じゼミの奴ら、それも男ばっかりで、北陸グルメ旅だったよ。」
「女の子は、いなかったの?」
「実は、全員断られたらしいんだ。みんな彼氏持ちで、彼氏と行くからごめんね…だって。」
「それは、それは、御愁傷様です。」
「それは、言いすぎでしょ…本当のこと過ぎて。」
二人で、思わず笑ってしまった。
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