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第一章:出会う景色、出会う人
「いっ…てぇ…なんだ…」
数秒前には景色が白んで、浮遊したことは覚えている
その後に背中から着地してしまったのか、寝転んだ姿勢で背骨が妙に痛んでいた
でも、地面が柔らかいような気が…する
「…ん…?」
視界が強い光に晒されたせいで瞼が開きにくかったが、その異変に気がついて薄く目を開いてみた
目に入ってくるのは極彩色、でもない…むしろ目にいい色が視界いっぱいに広がっている
地面は土ではなく草が一面に茂っている、何ヶ所かには花が咲き乱れる場所が見え、少し首を動かせば木々が立ち並ぶ様だって見えた
今度は上を向いてみる、なんてことだ、空が見えている
「国では見えないことは無かったけど…空ってこんなに、青いのか」
どれもこれもが、書物でしか見たことがないような景色ばかり、あまりの情報量に頭痛すら覚えるレベルだ
そよ風、と呼ぶものが頬を撫でる、心地が良い感覚に立ち上がるという選択肢を見出した俺は、とりあえず膝をついて立ち上がってみることにした
「…うお…」
立ち上がることによって更に世界が広がって見える、なんとも言い難い、綺麗な景色が俺を包みこんでいるような錯覚すら覚えた
「生木に生花…実物を見られる日が来るとはな…」
感動が極まって涙が出てきそうになるが、そんなことをしたら流石に見ている人がいなくとも変人になりかけないので、鼻っ柱を摘んで抑えることにしてから冷静に戻った
「…俺、どうやってここに来たんだ…?」
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