第一章:出会う景色、出会う人

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丁度良い風に吹かれながら、まずは自分自身を確認することにしてみた 体を上から下まで触ってみる、髪色や目の色は今は確認出来なかったが、そこに変化が出るというのは無さそうなのであまり気にしないでおく 「髪の長さは変わっていないし…手足が増えた訳でもないな、うん…大丈夫だろ」 本当は衣服を脱いで確認したかったが、生憎外でそんなことをする度胸はないし、着ていた服自体変わっていなかったので止めておいた …こんなだだっ広い草原で自分の体を天辺から足先まで確認しているのもどうかとは思うが 「腰にある道具入れも…見た目は変わってないな」 腰に巻いてあった工具入れを目線を落とす、いくら見た目が変わっていなくとも道具に異常が見られるかもしれない 職人にとって命と同じぐらい大事なものである工具の点検と確認を取るために、一度腰を下ろして工具入れを取り外して地面に置いた 「玄翁…釘…あ、種類もちゃんとあるな…メジャー…ドライバーと…」 黙々とあった工具を呟きながら取り出しては点検をしていく、今のところは特に傷になったり折れていたりするものがなくて安心した 「…ボルトにナットも、組で付けてあるから大丈夫だな」 最後に細々としたものを数えている時だった 「えっ」 「は?」 頭上から聞こえた声に即座に上を向く、そこには… 自分のすぐ上には足裏があった
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