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……背骨も痛てぇのに…もう体全部痛い
最早俺もその人も回避することが出来ずに重量のままに落下された、幸い顔面に付きそうだった足だけは逸らされたようで鼻の骨が折れることは無かった
結構な衝撃に一時的に声が出なくなっている、本当はめちゃくちゃびっくりしたんだけど叫べないのが辛い
「えっ、えええ大丈夫!?大丈夫じゃないよね僕落ちちゃったし!ごめんなさい!!」
俺が叫ぶ予定だった声量より叫んでる…
声色からして男性だろう、彼はすぐに俺の上から降りてくれた、そして慌てながらも力加減をしながら抱き起こしてくれる
「大丈夫…?あの、骨折とかしてないよね、そんなに重い自覚はないんだけど…」
骨折はしてないが声は出ない、相手の問いかけに答えようと片手をあげて指で丸を作った
「よかったー…あれ…でも…声、出ないの…?」
こくり、と
途端に俺を抱えてる青年が震えだした、え、俺なんかやばいことでも言ってしまったか?
「っ、ごめんね失礼するよ!」
はっ?
2度目の浮遊感、高くなった視線、背中と膝裏に相手の腕が回っている
…俺はどうやら、世に言うお姫様抱っこをされているようだった、体が痛むので抵抗もできないし、抱えられてしまった以上落ちたら痛いからこのままでいることにした
本当に申し訳ないと思っているのだろう、上から控えめな声が降ってくる
「大丈夫、ユリアのところに行けば何とかなるから!…だから、ちょっと待っててね」
逆行のせいで顔が見えにくい、でも
初めて目にする金髪が、陽の光を浴びて柔らかに輝く様を俺は一生忘れることは無いのだろうと感じた
「走るよ」
えっ
ついでに馬鹿みたいなスピードで運ばれた時の感覚も忘れることは無い
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