あらすじ

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 全人類が抱える最大の課題――老いと死。  医療技術の発達で平均寿命が飛躍的に延長されたまでは良かったが、それにともなって、さしあたって解決のめどが立っていない新たな難題が浮上した。  それが“人は誰しも老いる”ということであった。  平均寿命が急速に伸びた当初、人々はこう考えた。 『長生きは素晴らしい。可能な限り長く生きて、皆で人生を謳歌しようじゃないか』  この時、人々は大事なことを見落としていた。  誰しも逃れられない老い、そしてその先の死。  死にたくない。  まだまだもっと生き続けたい。  “死を望まない”のであれば、“老い”からも逃げ続けなくてはならない。  空を掴むような希望は絶望へと変わり、人々はなす術なく打ちひしがれた。  それでも、時間は止まってはくれない。  不老も不死も、どちらもかなえられることなく失意の荒野を彷徨し、科学技術の進歩の遅れを呪詛したところで、生命のサイクルには逆らえない。
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