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第一話 黒い道
夜も更けた頃に雨が降った。
大粒だったが一時間ほどで上がった。
濡れた路面を雲の切れ目からのぞく月が照らしている。
人が寝静まった住宅街。
遠くから赤ん坊の泣き声がどこからか聞こえてくる。
真っ暗な夜道を周囲の闇に溶け込むように黒い犬が歩いてくる。
近所の飼い犬が吠える中、黒い犬はひたひたと歩いて行く。
その後ろ姿は暗がりに溶け込むように消えていった。
夜風が木々を揺らして住宅街を抜けていく。
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