第一話 黒い道

2/13
前へ
/373ページ
次へ
国道沿いのコンビニ。 夜中ということもあって交通量も少なく、店内に客はいない。 駐車場に二台の大型スクーターを停めて四人の男女がたむろっていた。 彼らがコンビニに来た頃、ちょうど雨が降り出した。 雨は1時間ほどで止んだが、特に行くあてのない彼らはそのまま店の外で缶ビールを飲みながら騒がしく話していた。 するとどこからともなく犬の遠吠えが聞こえてくる。 その声が会話を遮った。 何匹もの犬が遠くで吠えている。 なにかに怯えたような、狂騒的な声は心の奥底に小さな不安を芽生えさせる。 「うるせえな」 「そういえば知ってた?」 「なに?」 「幽霊が通ると犬が吠えるって」 「なにそれ?知らない」 「友達から聞いたんだけど」 「幽霊って言えばへんなとこあるんだよな」 「えっ」 「その先の雑木林に倉庫があってさ、地下に続く階段があるんだよ」 「なんだそれ?」 「なあ」 「うん。なんか秘密っぽいの。この前二人で行ったときに発見してさ」 「そんなとこに二人でなにしにいったのよ?」 「え~それは…あれじゃん?」 金髪の子が照れたように言うと赤毛の子が笑いながら肘で小突いた。 二人のやり取りを余所にニット帽がパーカーに聞く。 「そこって墓場とかなんかあんの?」 「うんや、全然そんなとこねえけど林の中に一個だけ倉庫があって変なんだよな」 「ふーん…じゃあ行ってみようぜ」
/373ページ

最初のコメントを投稿しよう!

403人が本棚に入れています
本棚に追加