第六話 黒犬

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今朝は校門からは少し離れた場所で、登校する生徒に声をかけている。 みんな警戒して、距離をとりながら足早に通過していく。 それが余計に、お婆さんを苛立たせるらしい。 私も歩調を早める。 お婆さんはなにか言っていたけど無視して通り過ぎる。 校門の前には先生が立っていて、こちらを見ていた。 その間を急ぎ足で通過した。 その日、私はずっと昨日のことが頭から離れなかった。 特に恭平とのこと。 顔を会わせても私は恭平のことがまともに見ることができなかった。 それは恭平も同じみたいで…… 一日、不自然な二人だった。
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