第六話 黒犬

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ギャウ!! 短い悲鳴を発して犬が私の上から転がった。 素早く里依紗が私と犬の間に立ちふさがる。 「婆さん!杖を貸しな!早く!」 里依紗が犬から目をそらさずに、お婆さんの方へ右手を差し出す。 お婆さんは素早く里依紗に杖を手渡した。 「来いよ野良公!なめんじゃねーぞ」 里依紗が杖を構えながら言う。 お婆さんは私の横に来ると、私のことを無言で引き起こした。 「クワッ!!」 犬が里依紗に襲いかかった。 「おらあっ!!」 「ギャン!!」 里依紗が杖をフルスイングすると、犬の顔面を捉えた。 短い悲鳴を発して、犬が地面に這いつくばる。
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