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私は両手の存在を確かめるように地面に付き、その場に立ち上がった。女が引き返した壁に目をやる。地下道の末端まで、おおよそ五メートル。死人と私との間にあった距離の分だけ、離れている。ほんの数歩近づくだけで、地上への階段が見えるだろう。だが、私はためらった。地下道を行き切ってしまうことで、かえって見てはならないものを見ることになるのではないか。ようやく芽生えた、地上へ出てみたいという想いは、なかったことにするべきなのではないか。すでに、死人と顔を合わせるという、ありえないことが起こってしまっているのだ。
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