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どうして俺に聞いてくれなかった? そうすれば誤解は解けたのに。こいつが俺を突き飛ばしたあと、女もいなくなっていた。
こいつは女を捜したようだが、見つからなかったらしい。
俺は、初めから捜さなかった。あんな女を捜したところで、耳にするのはどうせ言い訳ばかりだからだ。
しかし、許せないのはこいつだ。
親友だと思っていたのに、にわかの女の言葉で俺を悪者に仕立て上げた。
突き飛ばしたことさえ、後悔の念もまるでなく「自分の胸に訊け」と言わんばかりに睨み付けてきた。
俺を突き飛ばした事に、後悔の念は無いだろう。しかし、一人の人間を殺そうとした後悔くらいは、こいつから感じたかった。
「ふ、ククク……」
自然と笑いが突いて出る。
そうだ、俺はこいつを殺した。本当は裁判で罰して欲しかったのに、殺してしまった。訴訟は証拠不十分で受理されず、それは執念を生んだ。
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