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「『T・アイズ』から……調査員が来ました」
玄関先で警戒に立つ警官が、妙に口ごもった言い方でリビングに呼びかけた。カレンは仁王立ちで腕を組み、すみれ色の瞳に気迫を込めて前方を睨むと、大きく深呼吸をする。
「先に断っておくけど、我々はこの件に関して捜査を放棄するつもりはないわ。これまで原因不明の事件はあなた達に丸投げしてきたから、犯人逮捕に至らなかった。でも特捜本部が新たに設立されて、特殊なケースを扱うことになったの。情報を秘匿したり、全面協力するつもりが無いなら、この部屋に一歩たりとも……え?」
カレンは目の前に現れた人物をみて、言葉を失った。
「一歩たりとも、立ち入りを許してもらえないのか。随分と一方的な条件提示だけど、交渉の余地は?」
ブロンドに近い亜麻色の髪を無造作に掻き上げ、少年は優しいエメラルドグリーンの瞳でカレンを見つめた。細身で背が高く、落ち着いた雰囲気を纏っているがどう見ても十五歳か十六歳だ。
「『T・アイズ』から派遣された、ストレイカー調査官です。どうぞよろしく」
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