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唖然として脳内シミュレーションを崩壊させたカレンは、差し出された手に気がつかなかった。ストレイカーはその手を自然な動作で収めると、魅力的な微笑みを浮かべる。
「調査員が僕のような子供で、驚かれましたか?」
ストレイカーの言葉に我に返ったカレンは、その微笑みに赤面した。と同時に、言いようのない怒りが沸き上がる。こんな子供が、いったい何の役に立つだろう。『T・アイズ』は、警察を馬鹿にしているに違いない。
増加の一途をたどる、都会の凶悪犯罪。それらの中に警察では扱いが難しい異様なケースが現れ出したのは、ここ近年になってからだ。
人体消滅、メタモルフォーゼ(容姿の著しい変形)、原因不明の昏睡。
世界各地で同様な事件が報道されたが、一番発生率の高いアメリカ合衆国ニューヨークシティと日本国トーキョーシティが両国話し合いのもと、合同出資の調査機関を設置することになった。
その調査機関の名が『特異事象情報調査局 True Eye's』(トゥルー・アイズ)である。
カレンの表情から心情を汲み取ったのだろう、ストレイカーの微笑が困惑のそれに変わった。
「お気持ちは察しますが、これでも僕はスペシャリストなんですよ。証明が必要なら調査実績を当局から送らせますけど?」
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