出会い

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俺の住む町は過疎化が進み、廃寺がいくつもある。跡継ぎがいない為にやむなく廃寺にしたと噂で聞いた。既に無人の寺に行く人はいない…はずだけど、怖いもの見たさで、足を運ぶ輩がいるんだ。 その寺は廃寺になって数十年が経っている。ちゃんと調べた訳じゃないから確かな年数はわからないけど、かなり経っている。そこには大きな桜の樹があって、昔は春になると満開の桜が見る者の心を癒す程、美しく咲き誇っていたらしい。 だけど、ある時からパッタリと桜が咲かなくなってしまった。樹が枯れているとか、そういう事ではなくて、桜の樹は生きているのに花が咲かなくなったんだ。人々はそれを呪いによるものだと噂した。 呪われた桜のある寺。これがこの寺に人が来る理由だ。 実を言うと、この寺は俺の家から歩いて5分くらいの場所にある。高校生である俺は毎日この寺の前を通過しているんだ。道に面している訳ではないから道から寺は見えない。石の階段を登ったその奥に寺があるんだ。
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