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恋人はマフラーを受け取ってにっこり笑い、
「よく頑張ったわね」
とほめてくれた。僕は、君がずっとそばにいてくれたから、これを完成することができた、だから、君にこれをあげると言った。彼女はびっくりして、目を丸くして、僕を見た。
「こんなに長い時間をかけて、一生懸命作ったものを、受け取れないわ」
とも言った。だが、僕は是が非でも彼女に使ってほしかった。彼女の一言が無ければ、僕は、こんがらがった脳みそを抱えたまま、今も思い悩み続けていただろうから。自分のすべてを擲ってしまっても、きっと後悔しないと思えるほどに、とてもすがすがしい気持ちなのだ。
僕の熱意にほだされたのか、恋人はついに、脳で編んだマフラーを受け取った。それは薄いピンク色をしており、可憐な彼女にはよく似合うと思われた。事実、その通りだった。彼女は僕の目の前でマフラーを首に巻いてみせた。色白の肌に、マフラーの色が良くなじんでいた。彼女は優しく微笑んだ。
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