1話「軍神の導き」

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1話「軍神の導き」

かつて神々と鮮血により繁栄せし地より。 「ほんと綺麗な人……」 眠る美女を愛しそうに撫でる女。 その名はフレサ。 ボーイッシュな彼女は眠れるフェミニン美女に夢中。 外は死臭漂う荒野ひろがる現実で見つけた一握りの幸せな幻想。 しかし、至福な時間こそ短いものです。 「たいへん!」 けたたましく扉を開けたのは少女シルエラ。 「し、しずかに!」 「それどころじゃないよ!マイス・カルテルがきた!」 トウモロコシは神が人に与えし命の糧。 それを独占しようとする悪党どもがいるのです。 抵抗できぬ弱者は犯して殺す。 たちむかう戦士は殺して犯す。 残虐非道な畜生ども。それがマイス・カルテルでございます。 「ばれたの!?」 「違うみたいだけど、先生たちが脅迫をうけてる!」 マイス・カルテルは行商人を見つけると寄付を要求します。 食糧。金物。車両。燃料。人間。トウモロコシの全てを。 断れば人肉サルサが荒野に散らばるのがオチ。 「どうしよう……フレサ……」 「先生を信じるしかないよ……」 彼女たちは行商人のフリをした反カルテルのレジスタンス。 パトロール・ルートを避け、補給物資を密かに運んでいました。 しかし、運悪く。この日はカルテルの抜き打ち偵察の日だったのです。 行商偽装トレーラーをカルテルの人型車両マキナゴレムが囲みます。 「話は聞かせてもらった」 ふたりの不安に応えたのは先程まで眠っていた美女でした。
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