0人が本棚に入れています
本棚に追加
/54ページ
返ってきたらさっきの様な討論ではなくきちんと話し合いをしようと思い歩いていくと、目の前に人だかりが見えた。
警察の姿も見える。
どうやら大事らしい。
「何かあったんですか?」
僕は人だかりの中の一人に聞いて見る。
「ああ・・さっき此処で交通事故があってな、中学生くらいの女の子がトラックに惹かれて亡くなったそうだ。全く可哀想に・・」
それは可哀想だ。
僕は人混みの中を進み1番前に出る。
黄色いテープの引かれた先にはおびただしい事故跡が残っていた。
飛び散った血の跡に、ボロボロになった被害者の所持物目も当てられない様な光景だった。
しかしこの光景を遊は良く見なければならない。
そう被害者の物と思われる物に見覚えがあるからだ。
背筋が凍る。
尋常じゃないほどの冷や汗が流れる。
まさか・・・・
「遊佐・・・・」
そう呟くと近くにいた警官が反応する。
警官が近寄り僕の話しかける。
「滝上遊佐さんのご親族ですか?」
警官が問う。
「はい。兄です」
その時の顔は到底人に見せられる様な顔じゃなかっただろう。
不安で顔が潰れていたはずだ。
「このたびはご愁傷様でした。遺体は市立病院に運ばれております」
最初のコメントを投稿しよう!