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死者
起こってしまった事は人間の力ではどうしようもできない。
後でどんなに後悔しようと後の祭りだ。
そんな物を都合よく変えれるものがいるとすれば神ぐらいだろう。
しかしその神が仮に存在するのならば・・・・
ー生きたい
それが自分の死を悟った彼の最後の『神頼み』だった。
「なんでわかってくれないのよ!」
目の前の少女が吠える。
少女にしか見えないがこれでも高校生立派な女性である。
小さな身長に幼い顔、見た人はほぼ中学生と間違える僕の同い年の双子の妹、遊佐だ。
「だからわかってないのは遊佐の方だろ」
少し不機嫌に答える。
僕、滝上遊は現在兄妹喧嘩中だ。
僕の家は長く続く大病院でありその後継である僕達のどちらかが継がなければならない。
「遊が何を言っても私は病院なんて継がない!」
今僕達はどちらが病院を継ぐかと言う事でもめている。
「そんなこと言っても僕は継げない。継げるだけの能力がないんだから」
僕は医学部に入れる様な学力が無い。
私立の大学に入学するのが精一杯だ。
それに比べて遊佐は真逆だ、高校では学年主席を三年間守り続け、難関大学の医学部合格も目に見えている天才だ。
しかし遊佐は他にやりたいこがあるらしい。
全く自分勝手な妹だ。
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