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ひもじい…お腹空いた…寒い…辛い…
ビュゥと吹いた木枯らしが身体も心も枯らしていく、カサカサになった手を擦り合わせて痛みを堪えて熱を求める
名前も知らない路地裏で虚ろな眼を何処に向けるでもなく、少し季節外れの薄手のジャンパーに身を包み“夜月 聡”は一人凍えていた
あぁ…最後に食べたの、何時だっけ…?
ホームレスになって早数ヶ月、元々身寄りは無く貯金も底を突いた、この生活で味わう初めての冬は現代社会に生きていた彼の舌だけでなく全てを麻痺させる原初の猛威だった
「………冷たっ!?」
だが、それを許さぬ刺激を与えるスパイスを自然は振り掛ける
「雪…か…」
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