recette5 プラネタリウムと蒼衣の空(完結・最終話)

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 パルフェが出るということは、少なくとも一度はシェフに会うかもしれない可能性が、脳裏によぎる。 「兄さん? なに、どうしたの」  八代が眉をひそめるのが見えた。 「二人ともどうしたの? リスト変だった?」  困惑する咲希の前で、蒼衣は返しが思いつかず、沈黙する。八代も咲希も、蒼衣がかつてパルフェに勤めてことは知っている。だから八代も言葉を選んでいるのだろう。しかし、咲希はすっかり忘れているようだった。  すると、勝手口のドアが開いた。 「ちわーっす、ロータス商会でーす」  厨房のドアを開ければ、材料卸の営業の声が聞こえてくる。 「材料の配達が来たから、受け取ってくるね」  その場をごまかすように、蒼衣は厨房に駆け込んだ。   「で、どうするの、催事。参加するの、しないの。どうなの」  営業が帰ったあと、待ちぼうけを食らった咲希が、急かすように問いかけてきた。  腕が組まれ、細い指がリズムを刻もうとしているのが見える。  ああ、まずい。うまいこと言葉が出ずに困っていると、八代が「咲希さん」と声をかけた。     
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