petit four2 プリン戦争(読みきり掌編:完結)

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petit four2 プリン戦争(読みきり掌編:完結)

「勝負だ!」  平日の夕方、突然飛び込んできたのは、男子高校生二人組だった。やんちゃそうな背の低い、刈り上げの少年と、反対におとなしそうな背の高い、眼鏡の少年だ。 「この店で勝敗が決まる、わかってるよな」 「ああ。ここが最後だ」  二人が同時にショーケースをのぞき込んだ。ケーキを選びに来たというよりは、なにかの戦いが始まりそうな雰囲気が漂っている。ケーキを出すために店に出ていた蒼衣は、八代と顔を見合わせた。  しばらくショーケースを物色していた彼らは、ほぼ同時に指を差す。 「これだ! プリン、ください! ここで食べていきます!」 「へえ。君たちのクラスでプリンの堅さ論争が起きたの? それで、彩遊市のケーキ屋を巡り巡って、そこのプリンが固めが多いのか、柔らかめが多いのか調べてるって?」  二人がなぜプリンにそこまでこだわっているのか。理由を尋ねると、彼らはそれはそれは熱く蒼衣に語ってくれたのだった。     
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