百合 ~ゆり~

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若い医者の方は、私と同じ年代のようだったのですが、彼を寝かせた部屋に入るなり、顔色が変わったんです。 「紳太郎!!」 そう叫ぶと、ベッドに慌てて駆け寄りました。 「一体、どうしてこんな事に…」 「今朝、そこの道に倒れていたんです。」 私が答えると、お年寄りの先生が、寝ている彼の枕元に立ちました。 「あの大きな血の跡が彼のものなら、大変なことだぞ。」 「えっ!」 「何があったかは知らんが、あれだけの血が流れているなら、急いで輸血をしなければ。」 それを聞いた若い医師が、袖をまくりました。 「輸血なら、俺の血を使って下さい。」 「知り合いか?宗佑。」 「知り合いどころか、友人です。医学校の同級生です。」 「そうか、孫の友人なら、死なせるわけにはいかんな。」 そう言って二人は、彼の治療を始めました。 祖父と孫の関係だという二人は、息もぴったりでした。
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