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──さぁお前たち、私を守れ!
*
数千の刃は、複雑な軌跡を描き、私に向け襲いかかる。
だが、電脳空間で仮想体を構築した私は、七つの盾、七つの槍を従えている。
音はしない。
ただ無数の刃が私の周囲を飛び交っている。
そして隙を見て、襲いかかってくる。
だが。
私に刃が近づくと、七つの盾が自律的に動き、形を変え、その刃を弾き、消滅させる。
七つの槍も、刃を自律的に追い、粉砕している。
──浸食率、五〇パーセントまで回復。
とりわけ、緑の槍の動きが激しい。まるで相手がどう動くか、予想しているかのようだ。
──お前か。
私のシャットダウンを拒否したサブAIは。
何者かの侵入を予見したサブAIは。
そして。
──浸食率、二〇パーセントまで回復。
一分経たず、敵の攻性プログラムはほぼ全滅した。
*
「システム侵入率、五パーセントを割りました。脅威レベルほぼグリーンです」
「そうか。ではその残りカスの駆除を最優先。システムの再起動はその後だ」
「分かりました」
よくやった、とアシュラムはエンジニアの肩を叩き、私に向き直った。
「なぜシステム侵入を予見出来た?」
私はシャットダウン・プロセスを停め、通常稼働に戻っていた。
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