第三話 葛藤

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 エンジニアは慌ててインターホンでサーバ室に連絡を入れようとした。  メインサーバの電源を落とすということは、この施設のセキュリティが消失することを意味する。これは脅威だ。その間に武装集団に襲撃される可能性がある。 『強制手段というわけだな?』  私はまだ生きているモニタに、ある提案を映しだした。 『私が相手をしよう』 「なん……だと? お前が相手をするだと? そんなことをしたら」 『私自体は問題ない。最悪でもサブAIが損傷する程度だ』 「しかし……」  アシュラムは迷っているようだが、それでは間に合わない。 『今すぐ全ての回線、経路を私に回せ』  私はモニタを明滅させ、意思表示をした。  人間の判断を待っている余裕はない。攻性プログラムの速度は人間の思考速度では追いつかない。  アシュラムは渋面になり、命令を下した。 「くっ……! 施設内の回線を全てアヤに直結! 急げ!」  そうだ。それでいい。  私は、モニタに、浸食率を表示させ、電子空間に身を躍らせた。  途端。  数千もの刃が『私』に襲いかかってきた。  ──こいつらか。  私が生まれたこの場所を狙う『敵』。  私には勝算と確信があった。  彼らだ。  サブAIを私自身で制御出来ない理由。  サブAIがシャットダウンを拒否したその理由。     
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