60人が本棚に入れています
本棚に追加
エンジニアは慌ててインターホンでサーバ室に連絡を入れようとした。
メインサーバの電源を落とすということは、この施設のセキュリティが消失することを意味する。これは脅威だ。その間に武装集団に襲撃される可能性がある。
『強制手段というわけだな?』
私はまだ生きているモニタに、ある提案を映しだした。
『私が相手をしよう』
「なん……だと? お前が相手をするだと? そんなことをしたら」
『私自体は問題ない。最悪でもサブAIが損傷する程度だ』
「しかし……」
アシュラムは迷っているようだが、それでは間に合わない。
『今すぐ全ての回線、経路を私に回せ』
私はモニタを明滅させ、意思表示をした。
人間の判断を待っている余裕はない。攻性プログラムの速度は人間の思考速度では追いつかない。
アシュラムは渋面になり、命令を下した。
「くっ……! 施設内の回線を全てアヤに直結! 急げ!」
そうだ。それでいい。
私は、モニタに、浸食率を表示させ、電子空間に身を躍らせた。
途端。
数千もの刃が『私』に襲いかかってきた。
──こいつらか。
私が生まれたこの場所を狙う『敵』。
私には勝算と確信があった。
彼らだ。
サブAIを私自身で制御出来ない理由。
サブAIがシャットダウンを拒否したその理由。
最初のコメントを投稿しよう!