第四話 後継

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 腕を一本持って行かれたが、私はそれを囮に、カエデの頭部に超高振動ナイフを発動させ突き刺した。  ギリギリの闘いだった。 「その件については、私にも疑問がある」 「言ってみろ」 「あの空間は、我々の機能をエミュレートしているはずだ。だがカエデはリミッターを破壊して尚、私に攻撃を仕掛けてきた。カエデの設計に欠陥があるのではないか?」 「それは現在調査中だ」 「ならば私が言うべきことはない」 「暴走の原因は解明されず、検体は破壊。ログを解析しようにも、意味不明なコードの羅列だ。あの時カエデは既に暴走状態にあった。そのきっかけを作ったのは、外ならぬお前、識別コードA0221、お前だ。アヤ」  アシュラムは私の責任だと断じた。  ならばその後の私の処遇は決まっている。  廃棄処分か。  朽ち果てるまで試作機として稼働し続けるか。  二択しかない。 「了解した。好きにするといい」 「その言葉、忘れるな」  アシュラムと男たちは、部屋を去った。  私は一人その部屋に残された。  ──どちらにせよ、私はもう用済みか。  そう思うと、なぜだろうか、サブAIが活性化し始めた。  何を伝えようとしているのか。  眼前に、キーワードが浮かび上がる。  悲しい。辛い。寂しい。悔しい。  私には感情を理解出来ないが、それらが示す意味は分かる。     
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