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「チーフ、後継機の暴走はまだ原因が不明です。そもそも今回の作戦だって、後継機たちの経験値の獲得のため、アヤの行動をトレースさせるのが目的だったんじゃないんですか? 危険です! 万が一暴走したら、それは我々の行動理念から逸脱します!」
「これは今回の作戦内容は上層部からの指示だ。命令違反で処分されたいのか?」
クレイドルは武力介入することで、無益な戦闘行為を止めるために行動する。
それが『行動理念』だからだ。
だが逆に、戦闘行為自体を政治的にも物理的にも『なかったこと』にも出来る力を有している。
この矛盾を抱えた組織が下した作戦指示に、オペレータたちの手は止まった。
「何をしている。アヤを投下後、順次後継機を投下しろ。大丈夫だ。暴走状態になった場合、アヤを経由して、強制的に機能停止可能なシステムを実装している」
「……自爆させるんですか?」
「機密事項だ。この件はこの場で明かすことは出来ない」
話はそこまでだった。
オペレータはアヤの直結回線に語りかけた。
「アヤ、聞こえていたでしょう?」
『ああ、聞こえていた。今回の作戦には疑問がある。私は作戦行動を拒否する』
「拒否?」
『私の行動はクレイドルの理念そのものなはずだ。それを覆すような作戦は承服出来ない』
アヤが作戦を拒否した。
今までになかった行動だ。
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