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私はその言葉を合図に、棒状の金具を力一杯握り、引き抜く動作をした。
固定されている部分にあるセンサがオレンジからグリーンに変色した。
腕部が五パーセントの出力ダウンしたのなら、他の部位で補えばいい。
そもそも今回の試験は、各部位の連動試験なはずだ。
私は腰部、脚部の出力を調整し、『五パーセント』分の出力を絞り出した。
途端。
アシュラムの怒号が跳んだ。
「アヤ! 何をしている! 誰が他の部位の出力を調整しろと言った!」
──何を言っているのだ?
私は『五パーセント』ダウンした左腕の出力を、他の部位を連動させて補っただけだ。
試験内容として、それはその目的から逸脱はしてないはずだ。
「俺は今回新造されたお前の『左腕』の出力テストをしている。誰が下半身でその低下した出力を補えと言った?」
「それならそうと命じればいい。私はそれに従う」
「お前はただのロボットか? そうではないだろう? 人に似せられ、相手の心情を解する」
「ああそうだ。だから『臨機応変』に試験内容の変化に対応している」
どこが不満なのだ?
分からない。
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