第六話 暴走

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 彼女たちは、アヤをベースに開発された後継機だ。AIコアの処理速度も向上し、余分な機能は一切排除され、忠実に命令を遂行する。武力介入の効率化において、それは傑作機となるはずだった。  だが今はその機能を果たしていない。  完全に人間側(クラウド)の制御から離れ、自らが持つ衝動によって全てを破壊する。いわば死神だ。 『余剰機能(サブAI)を持つ私と、それを部分的にしか持たない彼女たち。どちらが正しいか、今からそれを証明してやろう』  そのアヤの言葉に呼応するように、オペレーションルームの三次元モニタが切り替わった。  地形データが立体的に投影され、彼女たちを示す青いマーカとアヤを示す赤のマーカが表示された。 『五分だ』 「了解した。だが万が一にも、お前が勝つことはない。そこで果てるがいい」 『ふん……いいから、早く始めろ』  死のカウントダウンがスタートした。
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