第七話 経験

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 だが地上では、偶然か意図した動きなのか不明だが、アリスとユカが、アヤの左右に展開していた。どうやら、アヤを敵性体と見なし、挟撃しようとしているようだ。 「……我々は見ているしかないのか」  アシュラムが力なく呟いた。 『無駄だぞ? いいのか?』 「……偶然お前の予測が当たったに過ぎん」 『偶然(・・)、か……』  オペレーションルームは、呆れたようなアヤの声で満たされた。  *  アリスとユカはアヤの左右に展開し、両手に超高振動ナイフを構えた。それは燐光を放ち、いつでもアヤを切り裂ける。  それを見たアヤは、自らが持つナイフの超高振動をオンにした。 「ふん……一体が二体に増えた所で結果は変わらない」  その言葉が合図だった。  アリスとユカは感情のない目をアヤに向け、まったく同じ動きで瞬時に間合いを詰めた。  彼女たちが狙うのは、アヤの四肢だ。まず移動力、攻撃力を削ぐつもりだ。いくら『データ』として『経験値』を積んでいても、実戦経験のないAIコアだ。これ以上高度な作戦を求めることは出来ないだろう。  しかも暴走状態にあっては、満足な連携は取れない。  彼女たちにとって、この行動はもっとも最善な行動だった。  アリスがアヤの右、ユカが左に位置取りし、ナイフで斬りかかる。  アヤはユカのナイフを軽くいなし、バックステップ。  三体の間合いが(ひら)いた。     
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