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だが地上では、偶然か意図した動きなのか不明だが、アリスとユカが、アヤの左右に展開していた。どうやら、アヤを敵性体と見なし、挟撃しようとしているようだ。
「……我々は見ているしかないのか」
アシュラムが力なく呟いた。
『無駄だぞ? いいのか?』
「……偶然お前の予測が当たったに過ぎん」
『偶然、か……』
オペレーションルームは、呆れたようなアヤの声で満たされた。
*
アリスとユカはアヤの左右に展開し、両手に超高振動ナイフを構えた。それは燐光を放ち、いつでもアヤを切り裂ける。
それを見たアヤは、自らが持つナイフの超高振動をオンにした。
「ふん……一体が二体に増えた所で結果は変わらない」
その言葉が合図だった。
アリスとユカは感情のない目をアヤに向け、まったく同じ動きで瞬時に間合いを詰めた。
彼女たちが狙うのは、アヤの四肢だ。まず移動力、攻撃力を削ぐつもりだ。いくら『データ』として『経験値』を積んでいても、実戦経験のないAIコアだ。これ以上高度な作戦を求めることは出来ないだろう。
しかも暴走状態にあっては、満足な連携は取れない。
彼女たちにとって、この行動はもっとも最善な行動だった。
アリスがアヤの右、ユカが左に位置取りし、ナイフで斬りかかる。
アヤはユカのナイフを軽くいなし、バックステップ。
三体の間合いが開いた。
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