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アリスとユカはそれに追い縋った。彼女たちに迷いはない。間合いが開けば、それを詰める。アリスとユカの武装が近接戦闘装備である以上、攻撃可能な距離を保つ。それ以外の選択肢はないからだ。
アヤはそれを知って間合いを開けたのだ。
「お前たちは素直だな」
アヤは微笑んだ。
それはその状況にそぐわない、壮絶な笑みだった。
ユカとアリスとの距離を見極める。わずかにアリスが近い。まずアリスを標的にし高速で移動。アリスの眼前に近接。目の前にはアリスが繰り出したナイフ。
アヤはそのナイフを目で追わず、腕の反射機構にそれを任せた。
狙いはアリスの首だ。
右手の反射機構がアリスの攻撃を弾き飛ばし、左手のナイフがアリスの首を斬り飛ばした。
それを見たユカは『挟撃』が不可能になったことを認識し、両腕のブレードの超高振動を発動。単独で斬りかかってきた。
後はアヤの行動予測の範囲内だ。
今までの戦闘から得た経験と後継機の行動パターンから、次の攻撃を読み、先手を打った。
ユカの両腕のブレードを半身をわずかに引いて受け流し、超高振動ナイフで一閃。
両者の間に火花が散る。
ユカの右腕が斬り飛ばされた。
「これで終わりだ」
一呼吸の間もなく、ユカの頭部が地に落ちた。
*
「バカな……そんなことが……」
オペレーションルームでは、アシュラムが呆然と立ち竦んでいた。
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