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第八話 覚醒。そして希望へ
『私か。私は……私は……』
アヤは何かを言いかけ動きを止めた。
クラウドのモニタに映るアヤの姿にアシュラムは違和感を覚えた。
──何だ? アレは。
その違和感は目だった。
光学センサとして機能している、アヤの目の色が変化している。
それは澄み切った青。
兵器としての雰囲気が消え失せている。そんな印象を抱かせる色だ。
オペレータは、その異変をアヤの『機能』の異常として捉え、報告を上げた。
「アヤ内部に異常発生! AIコアが停止しました!」
「何? AIコアが?」
アシュラムはモニタから目を離せない。
AIコアが停止したとはいえ、アヤの目には何らかの意思を感じる。
「他には!」
思わずオペレータに状況報告を促す。
「ええと……サブAIが活性化しています。ブラックボックスと思われる箇所に熱源反応!」
「サブAIだと……?」
アヤに実装されているブラックボックス。今アヤの目には、そのブラックボックスに存在する『意思』が顕現している。
──そういうことか。
アシュラムは胸から銀のロケットを取り出し、蓋を開く。
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