第三話 葛藤

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「異常発熱を検知! 実験中止! 冷却剤を散布します!」  オペレータの悲鳴にも似た声が、スピーカーから飛び出した。  直後、真っ白な気体が周囲を覆い、私は視界を失った。 「今度は何だ……」  ただアシュラムの失望したような声が、耳に残った。  *  私は試験を強制終了させられ、メンテナンスルームのベッドに固定されていた。  サブAIが暴走したのだから、この措置は適切だ。暴走の範囲が拡がった場合、例の後継機の実証実験の時のように所員を殺害しかねない。 「どうなっている?」  ドアが開き、入ってきたのはアシュラムだ。  部屋ではエンジニアが数名、私に接続された端末を眺め、何やら話し合いをしているようだ。  私はその内容に興味はない。私の興味は、その解析結果だ。駆動機構(アクチュエーター)が私の意のままに動きさえすればいい。そしてなぜそうならなかったのか、その原因を探るのは私の仕事ではない。 「申し訳ないのですが」  エンジニアの一人が席を立ち、アシュラムに向き直った。 「アヤの行動不良の原因が特定出来ません」  エンジニアの一人は、そうアシュラムに報告した。     
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