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「一五パーセントの出力向上。これが目標値だったはずだ。それが向上するどころか、旧パーツより五パーセントもダウンしている。結果として、二〇パーセントの出力低下だ」
「はい」
「それとアヤのサブAIの暴走。その因果関係が分からない。それがお前たちの結論か?」
エンジニアたちは沈黙した。おそらくそれは肯定だ。
「事前に提出してもらった初期段階の解析の報告。やはりブラックボックスが絡んでいるのか?」
「……断定は出来ません。しかし我々がアクセス出来ない箇所はそこだけです」
「そうか。分かった」
アシュラムは私に向き直った。
「アヤ」
「何だ?」
「お前の見解を聞きたい」
「私の?」
「そうだ」
私はコンマ一秒迷った。様々な可能性、因果関係、そして先日の暴走。
──迷うだと? この私が?
AIたる自分が何を迷うというのか。
しかし、実際に答えが出せない自分がいる。
例のロケットが映像として浮かび上がる。
──何だこれは。何の関連性があるんだ?
私はその思考を一旦振り払い、アシュラムの問いに答えた。
先日の熱暴走、そして制御不能なサブAI。私の見解は単純だ。
「原因は……サブAIを搭載している私の構造的な欠陥だ」
私の目に映るのは、エンジニアたちの狼狽ぶりだ。やはりな、という言葉が頻繁に発せられている。
彼らには責任はない。
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