第三話 葛藤

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 あるとすれば、私のAIコアとサブAIを完全にリンクさせない仕組みを構築した設計者だけだ。  おかげで私は、サブAIが何をしているのか正確な情報を得られない。  まるで私──つまりAIコアを守るかのように配置された七つのサブAIたち。  彼らは一体何を守っているのだろうか。 「それが欠陥だとするならば、後継機のアーキテクチャは正しいということになる」  アシュラムが応じる。  その通りだ。  私の行動結果(サンプリングデータ)をベースに開発されている後継機は、サブAIを搭載していない。解析可能な範囲で得た部分をエミュレーションしているだけだ。  全てにおいて、AIコアからダイレクトに機能制御ユニット(リミッタ)に伝わり、四肢を駆動させる。そこに解析不能な余剰機能(サブAI)は介在しない。シンプルで理想的な兵器だ。 「今日の試験は終了だ。解析しなければならないデータが山積している。お前はシャットダウンしろ」 「了解した」  私はメンテナンス・ベッドに固定されたまま、アシュラムの命令に従い、シャットダウンプロセスを走らせた。  だが。 「アヤのAIコアに異常信号を検知! シャットダウンしません!」 「何だと!」  私も驚いた。一体どこに特権命令を阻害する要因が潜んでいるのか。 「アヤ!」     
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