第三話 葛藤

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 シャットダウン中でプロセスが停止している状態だ。私は音声出力が出来ず、端末のモニタを使って状況を映しだした。 「……またサブAIか」  そう。  七つあるサブAIが、なぜか、シャットダウンを拒否している。  彼らに問いかけるが、反応はない。  その時だった。 「不正プログラムの侵入を検知! ここまで来ます!」  エンジニアの一名が声を張った。 「バ……!」  アシュラムが大きく息を吸う。 「バカな! この施設のセキュリティは万全だ。何重ものファイヤウォールは何をしていた!」 「す……全て突破されたようです」 「あり得ん……ここのファイヤウォールはアヤのAIコアからフィードバックされた、自律性を持つシステムだぞ!」 「ああっ! ダメです、この部屋も既に……!」  緊急事態(エマージェンシー)を告げるアラーム音が、大音響で部屋中に鳴り響いた。 「全端末を強制終了(シャットダウン)しろ! 全てのサーバもだ! 急げ!」  部屋の中では、コマンドをタイプする音が乱暴に響く。  だが。 「ダ、ダメです。コマンドすら受け付けないなんて……」  エンジニアは、あり得ない、そんな顔をしていた。 「ならば電源を落とせ! 最悪バックアップから復旧(リカバリ)出来る!」 「わ、分かりました!」     
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